倉橋ヨエコ 根上誠二 CD ワーナーインディーズネットワーク 2002/03/28 ¥2,000
クロスファイア読書中、これを聞いています。
ジャズ歌謡のすばらしい不気味さ。
六畳一間にグランドピアノというすさまじさ。
そして美しく咳き込むほどのメロディ。
ただ、歌詞もメロディもすばらしいけど、編曲とリズムトラックがうまくない。
編曲、もっとストレートに作っていただきたい。
盗られ系なんかは最高だけれど。
倉橋ヨエコさんのどろどろとした歌詞、さっぱりとした歌詞、よくわからないんだけど、共感できてしまう。
このミニアルバムには未収録だけれど「人間辞めても」というシングルの歌詞が大好き。
なるほど、愛とはそういうものか、とおかしな勘違いをしそう。
クロスファイア読書中、これを聞いています。
ジャズ歌謡のすばらしい不気味さ。
六畳一間にグランドピアノというすさまじさ。
そして美しく咳き込むほどのメロディ。
ただ、歌詞もメロディもすばらしいけど、編曲とリズムトラックがうまくない。
編曲、もっとストレートに作っていただきたい。
盗られ系なんかは最高だけれど。
倉橋ヨエコさんのどろどろとした歌詞、さっぱりとした歌詞、よくわからないんだけど、共感できてしまう。
このミニアルバムには未収録だけれど「人間辞めても」というシングルの歌詞が大好き。
あんたの職業は 私の宝物
そして冥土の土産には あんたも あんたも連れてくよ
〜中略〜
人間辞めても離れない
土に返るも あんたの靴底に
生きる 生きる 私たちの愛 愛 愛
なるほど、愛とはそういうものか、とおかしな勘違いをしそう。
ISBN:410443101X 単行本 黒武 洋 新潮社 2001/01 ¥1,575
クロスファイアを読んでいて、この本を思い出しました。
娘を殺された教師が、娘を殺した人間達である生徒を人質に取って教室に籠城し、身代金を要求する、というもの。
どんどん悪人が殺されていく。
ストーリー展開は面白かったけれど、今ひとつ軽すぎて心に残らなかった惜しい作品。
この本は、ホラーサスペンス大賞受賞作だったかな。
選考委員が宮部みゆきさんなんですが、選評の中で、
と言っているんです。
クロスファイアで、おそらく宮部さんはその問題に対する答えを書いているのではないか、と思って下巻を安心して読んでいるわけですが、今のところ過激な報復が許されている形になっているのだけれど、どうなるのだろう。
もちろん、根底に流れる疑問はこちらにぶつかってきているからこそ、上巻でもやもやとした気持ちになったんですが。
はっきりとした「答え」をそこに見たい気がします。
では、下巻読んできます。
クロスファイアを読んでいて、この本を思い出しました。
娘を殺された教師が、娘を殺した人間達である生徒を人質に取って教室に籠城し、身代金を要求する、というもの。
どんどん悪人が殺されていく。
ストーリー展開は面白かったけれど、今ひとつ軽すぎて心に残らなかった惜しい作品。
この本は、ホラーサスペンス大賞受賞作だったかな。
選考委員が宮部みゆきさんなんですが、選評の中で、
無垢な被害者側からの報復は、どんな過激な形をとっていても許されるのではないか、という問いかけに、うなずく事は出来ません
と言っているんです。
クロスファイアで、おそらく宮部さんはその問題に対する答えを書いているのではないか、と思って下巻を安心して読んでいるわけですが、今のところ過激な報復が許されている形になっているのだけれど、どうなるのだろう。
もちろん、根底に流れる疑問はこちらにぶつかってきているからこそ、上巻でもやもやとした気持ちになったんですが。
はっきりとした「答え」をそこに見たい気がします。
では、下巻読んできます。
クロスファイア (上)
2004年5月12日 読書
ISBN:4334073131 単行本(ソフトカバー) 宮部 みゆき 光文社 1998/10 ¥860
パイロキネシス(念力発火能力)を持つ女は「悪」を討つ。
残虐非道な悪事をはたらく人間、それを滅する事を使命とした能力者。
まだ上巻ですが、面白いです。
マスコミに出ないだけで、凄惨な事件はごまんと存在するでしょう。
そういう事をする人間は、死んでしまえばいいと思ったりもします。
もし、自分に主人公と同じような能力があったら、同じ事をするかもしれない。なんて読書中何度も考えました。
道徳心をどこにおくのか、強い能力(位置、立場、権力)を持った時点で、常人とは違うはずです。歴史がそれを語っているでしょう。
人の死ほど客観的な物は無いですし、それが「死んで欲しい人間」に対するものなら、一層です。しかも誰にもばれない、咎められないなら。むしろその「死」で誰かが救われるなら。
それは善行ですらあるかもしれない。
ぞっとしないけれど、読書中何度も悪が死んでいく様を見ていて「気持ちいい」と感じました。
ただ、「死」がそんな簡単な物なのか、と疑問がよぎらないといえば、嘘になります。この不可思議なもやもやは何だろう。
下巻で、おそらくそれが説明されるような気がします。宮部さんの本は、そういうところで安心して読めるから好きです。
パイロキネシス(念力発火能力)を持つ女は「悪」を討つ。
残虐非道な悪事をはたらく人間、それを滅する事を使命とした能力者。
まだ上巻ですが、面白いです。
マスコミに出ないだけで、凄惨な事件はごまんと存在するでしょう。
そういう事をする人間は、死んでしまえばいいと思ったりもします。
もし、自分に主人公と同じような能力があったら、同じ事をするかもしれない。なんて読書中何度も考えました。
道徳心をどこにおくのか、強い能力(位置、立場、権力)を持った時点で、常人とは違うはずです。歴史がそれを語っているでしょう。
人の死ほど客観的な物は無いですし、それが「死んで欲しい人間」に対するものなら、一層です。しかも誰にもばれない、咎められないなら。むしろその「死」で誰かが救われるなら。
それは善行ですらあるかもしれない。
ぞっとしないけれど、読書中何度も悪が死んでいく様を見ていて「気持ちいい」と感じました。
ただ、「死」がそんな簡単な物なのか、と疑問がよぎらないといえば、嘘になります。この不可思議なもやもやは何だろう。
下巻で、おそらくそれが説明されるような気がします。宮部さんの本は、そういうところで安心して読めるから好きです。
ウザイという言葉が大嫌いです。
生理的に受け付けません。
正しくない日本語、というよりは新たに派生した言葉という位置にあるんでしょうが、どうもいけません。
若者言葉、使わないわけでは無いのですが、使っている自分を発見したとき、ぞっとします。
孤立する事が格好良いとは思わないけれど、孤高は確かにあこがれる、そんな若年層。いかがお過ごしでしょう。
つかみはOK
で、
爆笑問題のススメという番組が、滅多にみないテレビ番組の中でも、珍しく最近好きです。
この間は重松清さんが出てました。作家さんが出てトークする番組はなかなか無いので貴重です。
しかも受け手が、ただ仕事をするだけでなく、ちゃんと本好きの太田さんである事も好感が持てます。
下ネタが多いのは、まあ深夜番組でご愛敬。嫌いではないですし。
その番組のDVDが出ていて、放送じゃカットした場面が収録されているらしいので見てみたいです。
特に、花村萬月さんの回が見てみたい。とんでもない事言って、カットされてそうだ。
こういう、対談系の番組や、著名人が出ていた番組は、どんどんDVD化して頂きたい。
プロジェクトXに通じるおもしろさがあると思うのだけれど、どうでしょう。
言いつつ、プロジェクトX見た事無いんですが。
資料的な価値があると思います。
あと、NHKのDNAうんちゃら、とか人類の神秘みたいなやつも欲しいです。
生理的に受け付けません。
正しくない日本語、というよりは新たに派生した言葉という位置にあるんでしょうが、どうもいけません。
若者言葉、使わないわけでは無いのですが、使っている自分を発見したとき、ぞっとします。
孤立する事が格好良いとは思わないけれど、孤高は確かにあこがれる、そんな若年層。いかがお過ごしでしょう。
つかみはOK
で、
爆笑問題のススメという番組が、滅多にみないテレビ番組の中でも、珍しく最近好きです。
この間は重松清さんが出てました。作家さんが出てトークする番組はなかなか無いので貴重です。
しかも受け手が、ただ仕事をするだけでなく、ちゃんと本好きの太田さんである事も好感が持てます。
下ネタが多いのは、まあ深夜番組でご愛敬。嫌いではないですし。
その番組のDVDが出ていて、放送じゃカットした場面が収録されているらしいので見てみたいです。
特に、花村萬月さんの回が見てみたい。とんでもない事言って、カットされてそうだ。
こういう、対談系の番組や、著名人が出ていた番組は、どんどんDVD化して頂きたい。
プロジェクトXに通じるおもしろさがあると思うのだけれど、どうでしょう。
言いつつ、プロジェクトX見た事無いんですが。
資料的な価値があると思います。
あと、NHKのDNAうんちゃら、とか人類の神秘みたいなやつも欲しいです。
カウンターリセット
2004年5月10日 なんか必殺技みたいですが、結構ショックです。何か恨みがあるんでしょうか。
ぴっちさんと心の中で競ってたんだけどなあ。
また1からこつこつと。
オール讀物推理新人賞へ送る短編がやっとこさ数日前に出来ました。
まだ推敲やら校正やら、やることは残っていますが、ひとまず安心。
推敲後90枚くらいになる予定。
ページ数にたとえると、50数ページかな。
で、製本計画へ移ります。
ハードカバー一冊製本するの、意外にやすいんですよ。5、6千円で出来てしまう。
思い出に一冊だけ。今まで書いてきたもんを、また推敲、校正、補填しながら集めていきます。
まあ、いつか捨てたくなるんでしょうが、それはそれで思い出です。
みなさんも、ペットボトルに味噌を入れて破裂させないように気をつけましょう。
ぴっちさんと心の中で競ってたんだけどなあ。
また1からこつこつと。
オール讀物推理新人賞へ送る短編がやっとこさ数日前に出来ました。
まだ推敲やら校正やら、やることは残っていますが、ひとまず安心。
推敲後90枚くらいになる予定。
ページ数にたとえると、50数ページかな。
で、製本計画へ移ります。
ハードカバー一冊製本するの、意外にやすいんですよ。5、6千円で出来てしまう。
思い出に一冊だけ。今まで書いてきたもんを、また推敲、校正、補填しながら集めていきます。
まあ、いつか捨てたくなるんでしょうが、それはそれで思い出です。
みなさんも、ペットボトルに味噌を入れて破裂させないように気をつけましょう。
ISBN:4061952021 文庫 江戸川 乱歩 講談社 1987/11 ¥504
江戸川乱歩と言えば、名を知らぬ人はいないでしょう。
その乱歩作品でも、比較的有名なこの作品。
ある男は、すべての遊びという遊びに飽き飽きとしてしまい、毎日を淡々と過ごしていた。
そんなとき、住処の押入の天蓋がはずれ、屋根裏に出られることを発見した男は、夜な夜な屋根裏を徘徊し、ほかの部屋の様子をうかがうことを、楽しみにするようになった。
そして男は、ある事を思いつく。
完全犯罪を。
まさかこの作品が大正に創られたものだとは思えないでしょう。
今この粗筋がぽんと目の前に出されたら「おもしろそうだ!」と1000円札が出て行ってしまいますよ。
主人公の男の心理が見事であるし、うまくいえないけれど、どこか三人称を半音ずらしたような描写も気持ちが良い。
とんでもなく意味のない動機なのに、それを不自然と感じさせず、むしろ説得力があるというのが凄い。
謎解きに至って、幾分がっかりとするものの、全体的に読み出すとやめられない不思議な魅力のあるお話です。
屋根裏を歩き回って、無防備な他人の生活をのぞく、という設定に、多分な魅力があるんでしょうな。やってみたいもの。
(乱歩作品の有名な名探偵、明智小五郎が、まるで物語を終わらせるためだけに存在するように思えることが多々あるのです。それだけが、素直に江戸川乱歩を好きだ、といえない部分)
江戸川乱歩と言えば、名を知らぬ人はいないでしょう。
その乱歩作品でも、比較的有名なこの作品。
ある男は、すべての遊びという遊びに飽き飽きとしてしまい、毎日を淡々と過ごしていた。
そんなとき、住処の押入の天蓋がはずれ、屋根裏に出られることを発見した男は、夜な夜な屋根裏を徘徊し、ほかの部屋の様子をうかがうことを、楽しみにするようになった。
そして男は、ある事を思いつく。
完全犯罪を。
まさかこの作品が大正に創られたものだとは思えないでしょう。
今この粗筋がぽんと目の前に出されたら「おもしろそうだ!」と1000円札が出て行ってしまいますよ。
主人公の男の心理が見事であるし、うまくいえないけれど、どこか三人称を半音ずらしたような描写も気持ちが良い。
とんでもなく意味のない動機なのに、それを不自然と感じさせず、むしろ説得力があるというのが凄い。
謎解きに至って、幾分がっかりとするものの、全体的に読み出すとやめられない不思議な魅力のあるお話です。
屋根裏を歩き回って、無防備な他人の生活をのぞく、という設定に、多分な魅力があるんでしょうな。やってみたいもの。
(乱歩作品の有名な名探偵、明智小五郎が、まるで物語を終わらせるためだけに存在するように思えることが多々あるのです。それだけが、素直に江戸川乱歩を好きだ、といえない部分)
鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで
2004年5月9日 読書
ISBN:4334729851 文庫 宮部 みゆき 光文社 2000/04 ¥620
宮部みゆきさんの短編(中編?)集。
それぞれの物語の主人公は超能力者で、いずれもその能力に悩まされています。
同時に、能力を与えられたからには……と自身の生き方を決めているあたりが、おもしろい。
燔祭は、映画化もされた「クロスファイア」の最初の物語にあたるので、クロスファイアを読むつもりの方は、この本から始めた方がよろしいかも。
ほかのお話もおもしろく、損はさせません。
表題作の鳩笛草が特に好きです。絶望に落ちていくのに、なんて美しい終わり方だろう、と思いました。
宮部さんの作品というのは、長編のイメージが強いです。
模倣犯、ブレイブストーリー、理由、等々。
新聞連載や雑誌連載のお話は、長い傾向にある気がします。
なので、時折冗長に感じることも。
だからこそ、短編や中編がおもしろい。
物語は綺麗にまとまっていて、テーマもきちんと個人が受け止められるくらいに内包されている。
長編しか読まないのではなく、短編の宮部さんも、いかがでしょうか。
そして、短編を読んでから長編をまた読み返すのも、新たな発見があって、乙かもしれません。
宮部みゆきさんの短編(中編?)集。
それぞれの物語の主人公は超能力者で、いずれもその能力に悩まされています。
同時に、能力を与えられたからには……と自身の生き方を決めているあたりが、おもしろい。
燔祭は、映画化もされた「クロスファイア」の最初の物語にあたるので、クロスファイアを読むつもりの方は、この本から始めた方がよろしいかも。
ほかのお話もおもしろく、損はさせません。
表題作の鳩笛草が特に好きです。絶望に落ちていくのに、なんて美しい終わり方だろう、と思いました。
宮部さんの作品というのは、長編のイメージが強いです。
模倣犯、ブレイブストーリー、理由、等々。
新聞連載や雑誌連載のお話は、長い傾向にある気がします。
なので、時折冗長に感じることも。
だからこそ、短編や中編がおもしろい。
物語は綺麗にまとまっていて、テーマもきちんと個人が受け止められるくらいに内包されている。
長編しか読まないのではなく、短編の宮部さんも、いかがでしょうか。
そして、短編を読んでから長編をまた読み返すのも、新たな発見があって、乙かもしれません。
ヨッシーの東京湾景
2004年5月8日 世界の中心でなんかを叫んでる本が、村上春樹さんのノルウェイの森を抜いて、歴代一位の出版部数に到達したそうです。
そんな嫌いではないだろうストーリーなので、ちょっと前読みたかったのだけれど、もう今更読めない状況になってしまった。
かわりと言っては何だけど、吉田修一さんの「東京湾景」をちょっと前に読んだ。
発売時期といい装丁と言い、意識をしているのが丸見えで、買うのを少々躊躇しましたが、まあ、それはそれ。
あんまり好きな類では無かったので紹介はしないけれど、ただの亜種としておくには勿体ないおもしろさは確かにあるのですよ。
流行に乗って逆に損をする典型です。
ほかにも、芥川賞最年少受賞でわいて、至る所に低年齢を謳う本が出回ってますね。
最年少直木賞候補作品! まで宣伝になるんだから凄い。
若年層を売り出すのは良いけれど、鉄砲玉にしないでいただきたい。
とはいえ
蹴りたい背中が一〇〇万部突破。
あゆ物語だったかが累計一〇〇万部突破。
世界の中心で愛を叫ぶが二〇〇万部突破。
と、最近の文芸は生き生きとしておりまして、大変素敵でございます。
これを機会に、普段本を読まない方も、ぜひほかの文芸書に手を出していただきたい。
そんな嫌いではないだろうストーリーなので、ちょっと前読みたかったのだけれど、もう今更読めない状況になってしまった。
かわりと言っては何だけど、吉田修一さんの「東京湾景」をちょっと前に読んだ。
発売時期といい装丁と言い、意識をしているのが丸見えで、買うのを少々躊躇しましたが、まあ、それはそれ。
あんまり好きな類では無かったので紹介はしないけれど、ただの亜種としておくには勿体ないおもしろさは確かにあるのですよ。
流行に乗って逆に損をする典型です。
ほかにも、芥川賞最年少受賞でわいて、至る所に低年齢を謳う本が出回ってますね。
最年少直木賞候補作品! まで宣伝になるんだから凄い。
若年層を売り出すのは良いけれど、鉄砲玉にしないでいただきたい。
とはいえ
蹴りたい背中が一〇〇万部突破。
あゆ物語だったかが累計一〇〇万部突破。
世界の中心で愛を叫ぶが二〇〇万部突破。
と、最近の文芸は生き生きとしておりまして、大変素敵でございます。
これを機会に、普段本を読まない方も、ぜひほかの文芸書に手を出していただきたい。
ISBN:4048734857 単行本 重松 清 角川書店 2003/08 ¥1,890
この表紙!
フランス装の本では、この本が一番好きです。
内容も、なるほど壮絶な表紙に合う壮絶な内容。
一つの家族があり、その家族がどんどんと壊れていく様を、その家族の次男の二人称で語られていきます。
この二人称である「おまえ」というのに、どれだけ早く慣れるかが問題。少々読みにくく感じますが、最後にその必然性が表れます。
とにかく物語は暗く、落ち窪んで、どうしようもなく、何度も突っ伏しながら読み抜きました。
人には絶対勧められないけれど、とんでもなく心に残り、お気に入りの本ではあります。
大きな絶望と、ちいいいいいいいさな救いの物語。
読書を自虐的行為にするなら、これほどの玩具はないかもしれない。
この表紙!
フランス装の本では、この本が一番好きです。
内容も、なるほど壮絶な表紙に合う壮絶な内容。
一つの家族があり、その家族がどんどんと壊れていく様を、その家族の次男の二人称で語られていきます。
この二人称である「おまえ」というのに、どれだけ早く慣れるかが問題。少々読みにくく感じますが、最後にその必然性が表れます。
とにかく物語は暗く、落ち窪んで、どうしようもなく、何度も突っ伏しながら読み抜きました。
人には絶対勧められないけれど、とんでもなく心に残り、お気に入りの本ではあります。
大きな絶望と、ちいいいいいいいさな救いの物語。
読書を自虐的行為にするなら、これほどの玩具はないかもしれない。
ISBN:4163228403 単行本 高野 和明 文藝春秋 2004/04/07 ¥1,680
江戸川乱歩賞を「13階段」で受賞した高野和明さんの新刊。
自殺をした青年がふと気づくと、なぜか崖にへばりついている。
自殺をした青年は崖をのぼってみるとそこには、年齢も性別もばらばらな三人の人間達がいて、そのうち神様まで現れる。
神様はその場にいた(青年も含め)四人に対して、命を粗末にした罰をあたえる。
それは、七週間の内に一〇〇人の命を救えというものだった。
なんだか馬鹿馬鹿しい設定であるけれど、実はこれが重たい。
様々な「死にたい」と思っている人間を救っていく彼ら。そんな自殺志願者のエピソードを軸に物語は進んでいくのだけれど、常につきまとうのは、もう自殺してしまった主人公達の存在。
「自殺志願者は未来が見えなくなる」という作中の言葉の通り、自殺した主人公達は、徐々に「見えないはずだった未来」に身を置いた自分に、何度も疑問を抱く。
どうして、死んでしまったんだろう。そう思う事すら。
もっとこうして生きていれば、もっと図々しく生きていれば。何度も自問自答を繰り返す。
この自問自答は、主人公達の心境でもあり、読者へのメッセージでもあるのでしょう。
嫌味の無い書き方が、心に響きました。
潜在的な自殺志願者達に、生きる意味を繰り返し叫び続ける自殺者である主人公達。
滑稽な光景だけど、最後にはこちらも熱くなってしまう。自殺しようとする人たちに「がんばれ」と叫びたくなる(鬱病にはいけないらしいけど)。
主人公達が自殺を食い止めるたびに、なんだかこちらの「がんばれ」という言葉が届いたような気になるほど、物語にのめり込めました。
でも、読者にとっての「目」である主人公達にかける言葉がない事に気づき、なんだか複雑な気持ちになってしまうのも、この本の魅力かも知れない。
この本は、まさに「救い」をテーマにしていて、全体的には爽やかに読み通せました。もちろん、ずっしりと心に残る重さはありますが、嫌な気分ではありません。
最後に一言。
自殺、かっこわるい。とみんなが素直に言えますように。
江戸川乱歩賞を「13階段」で受賞した高野和明さんの新刊。
自殺をした青年がふと気づくと、なぜか崖にへばりついている。
自殺をした青年は崖をのぼってみるとそこには、年齢も性別もばらばらな三人の人間達がいて、そのうち神様まで現れる。
神様はその場にいた(青年も含め)四人に対して、命を粗末にした罰をあたえる。
それは、七週間の内に一〇〇人の命を救えというものだった。
なんだか馬鹿馬鹿しい設定であるけれど、実はこれが重たい。
様々な「死にたい」と思っている人間を救っていく彼ら。そんな自殺志願者のエピソードを軸に物語は進んでいくのだけれど、常につきまとうのは、もう自殺してしまった主人公達の存在。
「自殺志願者は未来が見えなくなる」という作中の言葉の通り、自殺した主人公達は、徐々に「見えないはずだった未来」に身を置いた自分に、何度も疑問を抱く。
どうして、死んでしまったんだろう。そう思う事すら。
もっとこうして生きていれば、もっと図々しく生きていれば。何度も自問自答を繰り返す。
この自問自答は、主人公達の心境でもあり、読者へのメッセージでもあるのでしょう。
嫌味の無い書き方が、心に響きました。
潜在的な自殺志願者達に、生きる意味を繰り返し叫び続ける自殺者である主人公達。
滑稽な光景だけど、最後にはこちらも熱くなってしまう。自殺しようとする人たちに「がんばれ」と叫びたくなる(鬱病にはいけないらしいけど)。
主人公達が自殺を食い止めるたびに、なんだかこちらの「がんばれ」という言葉が届いたような気になるほど、物語にのめり込めました。
でも、読者にとっての「目」である主人公達にかける言葉がない事に気づき、なんだか複雑な気持ちになってしまうのも、この本の魅力かも知れない。
この本は、まさに「救い」をテーマにしていて、全体的には爽やかに読み通せました。もちろん、ずっしりと心に残る重さはありますが、嫌な気分ではありません。
最後に一言。
自殺、かっこわるい。とみんなが素直に言えますように。
太宰治の良さは、未だにわからない。
2004年5月6日 ぴっちさん、むつきさん、リンクどうも。
こちらから張るにはどうすればいいのか、まるでわからんので、今度教えてください。
ところでぴっちさん、プロフィールの短所と長所ですが、負けず嫌いはそれほど短所でも無いと思うのですがどうでしょう。向上心という言葉もありますし。
長所は、他人と自分の境界線を認識していて、巧い距離をとれる渡世術辺りにあると思うのですが、こちらはどうでしょう。
短所は、カードにお金使いすぎ(笑)
話変わって
いまさら、ウゴウゴルーガのビデオを初めて見せて貰い、みかんせいじんのあの異様なまでの不気味さに爆笑する。
オチが無く、落とせるシチュエーションでも、やはりオチは無く。
意味が無いが、それが魅力というわけでもなく。なのに一話が終わったら爆笑しているあの摩訶不思議な感覚。
狙っているのか狙っていないのか、凄く微妙。
実はなんも考えていないのではないか、とすら思える。
無くても良いけど、あっても良い。気怠いスタンスが素敵です。
そんな雰囲気。
-追記-
この前、除湿器の値段をさぐりに電気街に行きましたら、マウスがありました。
現在使っているマウスが、壊れかけているので良い機会か、と思い物色している中に一つ、よくわからないマウスが。
「4Dマウス」
光学式で、普通のホイールマウスなんですが、よくわかりません。
3Dが、縦、横、高さ(だっけ?)で成り立ち、4次元目は、時間でしたか。
つまりこのマウスは、時間すら操ってしまうというのでしょうか。
縦の概念も、よくわからないけれど……
こちらから張るにはどうすればいいのか、まるでわからんので、今度教えてください。
ところでぴっちさん、プロフィールの短所と長所ですが、負けず嫌いはそれほど短所でも無いと思うのですがどうでしょう。向上心という言葉もありますし。
長所は、他人と自分の境界線を認識していて、巧い距離をとれる渡世術辺りにあると思うのですが、こちらはどうでしょう。
短所は、カードにお金使いすぎ(笑)
話変わって
いまさら、ウゴウゴルーガのビデオを初めて見せて貰い、みかんせいじんのあの異様なまでの不気味さに爆笑する。
オチが無く、落とせるシチュエーションでも、やはりオチは無く。
意味が無いが、それが魅力というわけでもなく。なのに一話が終わったら爆笑しているあの摩訶不思議な感覚。
狙っているのか狙っていないのか、凄く微妙。
実はなんも考えていないのではないか、とすら思える。
無くても良いけど、あっても良い。気怠いスタンスが素敵です。
そんな雰囲気。
-追記-
この前、除湿器の値段をさぐりに電気街に行きましたら、マウスがありました。
現在使っているマウスが、壊れかけているので良い機会か、と思い物色している中に一つ、よくわからないマウスが。
「4Dマウス」
光学式で、普通のホイールマウスなんですが、よくわかりません。
3Dが、縦、横、高さ(だっけ?)で成り立ち、4次元目は、時間でしたか。
つまりこのマウスは、時間すら操ってしまうというのでしょうか。
縦の概念も、よくわからないけれど……
ラブロマ 2 (2)
2004年5月6日 読書
ISBN:4063143465 コミック とよ田 みのる 講談社 2004/04/23 ¥540
友人宅で読んでまいりました。アフタヌーン、現在もっとも熱い雑誌です。たぶん。
決して口にだせないような恥ずかしい台詞を、ラブコメディに鏤めて、恥ずかし気も無く言い切ってしまうところに、本書の魅力はあるのでしょう。
「お話が良ければ絵なんて」という言葉を良く聞きますが、ラブロマに至っては、この絵あってこそのこのお話。
ほかの絵であればきっと、虫ずが走ってくるような言葉も、すんなり受け入れられてしまいますから不思議。
「好き」だとか「愛している」だとかの台詞が、もう日常の「こんにちわ」ぐらいに思えてきました。
一種、この本は異空間と通じているんでは無かろうか。
それぐらい、読み始めるとお話の雰囲気に浸れます。
友人宅で読んでまいりました。アフタヌーン、現在もっとも熱い雑誌です。たぶん。
決して口にだせないような恥ずかしい台詞を、ラブコメディに鏤めて、恥ずかし気も無く言い切ってしまうところに、本書の魅力はあるのでしょう。
「お話が良ければ絵なんて」という言葉を良く聞きますが、ラブロマに至っては、この絵あってこそのこのお話。
ほかの絵であればきっと、虫ずが走ってくるような言葉も、すんなり受け入れられてしまいますから不思議。
「好き」だとか「愛している」だとかの台詞が、もう日常の「こんにちわ」ぐらいに思えてきました。
一種、この本は異空間と通じているんでは無かろうか。
それぐらい、読み始めるとお話の雰囲気に浸れます。
友人に言われて困った事
2004年5月4日 今日は微妙に雨がふっていました。
バイク移動が基本なので、雨が降るとあまり出回りません。
友人の家がそれなりに遠いため、雨の日はいけない事が多かったりします。
で、今日は微妙な天気。降りはするんだけど、止んでる時期も多かった。
そんな時電話を貰い「気が向いたら来て」と言われて現在7時近く。
雨が降りそうな、もう降らなそうな。
「気が向いたら」がいったい何時までなのかもよくわかりません。
どうすりゃいいんでしょう。
わたしは基本的に、予定をスケジュール通りにしかこなせない人なので、困ってしまいます。
臨機応変が大の苦手。
発売延期とか大嫌いです。
バイク移動が基本なので、雨が降るとあまり出回りません。
友人の家がそれなりに遠いため、雨の日はいけない事が多かったりします。
で、今日は微妙な天気。降りはするんだけど、止んでる時期も多かった。
そんな時電話を貰い「気が向いたら来て」と言われて現在7時近く。
雨が降りそうな、もう降らなそうな。
「気が向いたら」がいったい何時までなのかもよくわかりません。
どうすりゃいいんでしょう。
わたしは基本的に、予定をスケジュール通りにしかこなせない人なので、困ってしまいます。
臨機応変が大の苦手。
発売延期とか大嫌いです。
variandante
2004年5月4日 音楽
HUSKING BEE 磯部正文 平林一哉 CD トイズファクトリー 2004/04/21 ¥2,625
「後に跡」という曲を聴いてからずっとファンだったHUSKING BEEが、やっと全曲日本語歌詞のアルバムを出してくれた。
磯部さんの言葉遊びが大好きです。
ちょっとひねくれたメロディも大好きです。
個人的に、洋楽に良さを見出せない人なので、こういうポップなやつのほうが好きです。
もちろん、前のアルバムも良く聞くわけですが。
一曲目の「摩訶不思議テーゼ」から、全開で、やってくれます。
確かに摩訶不思議。しかし直接的すぎるこの言葉達。左右のチャンネルから流れてくる細かいリズムを刻むギターと相まって、本当に摩訶不思議。
アドバイスという曲は、もう「やりすぎだ」と笑ってしまう。
最初歌詞カード見たときは、意味がまるでわかりませんでしたが、聞いてみて納得。
でも、こんなふざけてるのにサビの部分ではきちんと格好良いから素敵。
ただ、前二作のアルバムと比べると平林さんの声が浮いてしまっている。
日本語歌詞になると、磯部さんの曲を無理に歌っている感が出てる気がする。
作詞も担当した「Just a beginning」は、綺麗にまとまってるけれど。
その人の世界観というのは、大事なんだなあ、と思えました。
「後に跡」という曲を聴いてからずっとファンだったHUSKING BEEが、やっと全曲日本語歌詞のアルバムを出してくれた。
磯部さんの言葉遊びが大好きです。
ちょっとひねくれたメロディも大好きです。
個人的に、洋楽に良さを見出せない人なので、こういうポップなやつのほうが好きです。
もちろん、前のアルバムも良く聞くわけですが。
一曲目の「摩訶不思議テーゼ」から、全開で、やってくれます。
戸棚がパキッと唸ったり テレビ写ったりするわけ
つられて笑ってしまった 欠伸移ったりするわけ
悲しくて笑って忘れたり 嬉しくて涙出るわけ
時間が長く感じたり あっという間に過ぎるわけ
確かに摩訶不思議。しかし直接的すぎるこの言葉達。左右のチャンネルから流れてくる細かいリズムを刻むギターと相まって、本当に摩訶不思議。
アドバイスという曲は、もう「やりすぎだ」と笑ってしまう。
エが工(こう)じゃなくて タが夕(ゆう)じゃない
八(はち)がハじゃなくて 口(くち)がロじゃない
二(に)はニか
最初歌詞カード見たときは、意味がまるでわかりませんでしたが、聞いてみて納得。
でも、こんなふざけてるのにサビの部分ではきちんと格好良いから素敵。
ただ、前二作のアルバムと比べると平林さんの声が浮いてしまっている。
日本語歌詞になると、磯部さんの曲を無理に歌っている感が出てる気がする。
作詞も担当した「Just a beginning」は、綺麗にまとまってるけれど。
その人の世界観というのは、大事なんだなあ、と思えました。
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2004年5月3日 グーグルで、「ストイック 意味」と検索かけて来た方、ストイックとは「禁欲的」って意味ですよ。
どこか高尚な言葉のような気がするけれど、私にみたいに言い訳になるとどうしようもなくなります。
硝子のハンマーは、貴志祐介ファンなら買いですが、過度な期待は禁物です。
アヒルと鴨のコインロッカーは、買いです。伊坂幸太郎さんを気に入って頂けたら、次はラッシュライフにいきましょう。
さよなら妖精は、結構難しいラインです。キャラクタの書き方がライトノベル寄りなので、それが気にならなければ是非。
夢野久作 ドグラマグラで来た方、申し訳ない。
まだ未読ですが、結構体力使います。読みにくくて。
上巻読んだきりだなあ……。
どこか高尚な言葉のような気がするけれど、私にみたいに言い訳になるとどうしようもなくなります。
硝子のハンマーは、貴志祐介ファンなら買いですが、過度な期待は禁物です。
アヒルと鴨のコインロッカーは、買いです。伊坂幸太郎さんを気に入って頂けたら、次はラッシュライフにいきましょう。
さよなら妖精は、結構難しいラインです。キャラクタの書き方がライトノベル寄りなので、それが気にならなければ是非。
夢野久作 ドグラマグラで来た方、申し訳ない。
まだ未読ですが、結構体力使います。読みにくくて。
上巻読んだきりだなあ……。
ISBN:4087745341 単行本 乙一 集英社 2003/06 ¥1,575
乙一さんの短編集。
16歳だったか17歳でジャンプノベルスにてデビュー後、我孫子武丸氏の絶賛を浴び、角川スニーカー文庫で「せつなさの達人」と呼ばれる名短編集をいくつも送り出す。
その後初のハードカバー「GOTH」で本格ミステリ大賞を受賞し、若い異能としてマスコミに多く取り上げられる。
彼を天才と呼ぶ人は少なくないけれど、個人的に乙一さんは「とてもセンスのいい人」だと思うんです。
幼少から吸収してきた様々なものを、努力で創作に押し上げている。
そんなイメージ。
このZOOは、比較的初期の作品から後期の作品まで揃ってる、統一性のないおかしな短編集です。
どれもこれもそれなりに面白いのですが、中でも推したいのが表題作でもある「ZOO」と「陽だまりの詩」の二篇。
この二篇の説明をすれば、この短編集がどれだけ変かわかって頂けるとも思います。
「ZOO」は、ある青年の元に毎日、恋人が徐々に腐乱していく写真が送られてくるという、前記した「せつなさの達人」とはかけ離れた粗筋を持った物語です。
実はその写真は、青年自身が殺してしまった恋人を、青年自身が毎日写真を撮って自身に送りつけているわけですが、とにかく怖い。
書き方が突き放しているというか、一人称なのに、なぜか客観的すぎて、ぞっとする。
乙一さん得意の「最後にあっと驚く」ようなオチは無いだけに、あまり人気のない話だけれど、私は一番好きです、このお話。
「陽だまり詩」は、人類が滅亡している世界で、のんびりと暮らす一人の老人と、老人の作ったロボットのお話。
ロボットが徐々に感情を持っていく様子が、急ぎ足でもなく、微妙な時間の流れで丁寧に書かれていて、最後は涙が溢れてしまいます。
細かく張り巡らされた伏線もお見事。
と、言うように、こういった両極端な話が平然と同じ本に収められて、なおかつそれがアンソロジーではなく「乙一」という個人であるから、恐ろしい。
そして、とんでもなく面白い。
乙一さんの短編集。
16歳だったか17歳でジャンプノベルスにてデビュー後、我孫子武丸氏の絶賛を浴び、角川スニーカー文庫で「せつなさの達人」と呼ばれる名短編集をいくつも送り出す。
その後初のハードカバー「GOTH」で本格ミステリ大賞を受賞し、若い異能としてマスコミに多く取り上げられる。
彼を天才と呼ぶ人は少なくないけれど、個人的に乙一さんは「とてもセンスのいい人」だと思うんです。
幼少から吸収してきた様々なものを、努力で創作に押し上げている。
そんなイメージ。
このZOOは、比較的初期の作品から後期の作品まで揃ってる、統一性のないおかしな短編集です。
どれもこれもそれなりに面白いのですが、中でも推したいのが表題作でもある「ZOO」と「陽だまりの詩」の二篇。
この二篇の説明をすれば、この短編集がどれだけ変かわかって頂けるとも思います。
「ZOO」は、ある青年の元に毎日、恋人が徐々に腐乱していく写真が送られてくるという、前記した「せつなさの達人」とはかけ離れた粗筋を持った物語です。
実はその写真は、青年自身が殺してしまった恋人を、青年自身が毎日写真を撮って自身に送りつけているわけですが、とにかく怖い。
書き方が突き放しているというか、一人称なのに、なぜか客観的すぎて、ぞっとする。
乙一さん得意の「最後にあっと驚く」ようなオチは無いだけに、あまり人気のない話だけれど、私は一番好きです、このお話。
「陽だまり詩」は、人類が滅亡している世界で、のんびりと暮らす一人の老人と、老人の作ったロボットのお話。
ロボットが徐々に感情を持っていく様子が、急ぎ足でもなく、微妙な時間の流れで丁寧に書かれていて、最後は涙が溢れてしまいます。
細かく張り巡らされた伏線もお見事。
と、言うように、こういった両極端な話が平然と同じ本に収められて、なおかつそれがアンソロジーではなく「乙一」という個人であるから、恐ろしい。
そして、とんでもなく面白い。
ISBN:4087746607 単行本 久世 光彦 集英社 2003/09 ¥1,890
美しい表紙と、粗筋に惹かれて買ってみました。
子供達の乗った船が嵐で沈没。子供達数人は漂流し、無人島に辿り着く。
粗筋だけを読めば、ありきたりな冒険小説でしょうが、今までに無いタイプの漂流ものだと思うのです。
飢餓状態で人を襲ったり、疑心暗鬼になったり、そういう展開を予測していたら、見事に裏切られた。
その島には食べられる果実もあるし、飲料水も確保出来る。死に対する緊張感はあまり無い。
つまりそうなると、少年少女数人の人間関係が面白くなってくる。
舞台は現代なのだけど、場所が場所だけに、どこか幻想めいた関係が出来上がっていく。
仲間達の関係に「危機」はなく、なんか青臭い「性」が見え隠れする。
読み解くほど眼前に情景が浮かび、台詞一つだけで、隣にいるような生き生きとした登場人物達を書き上げる筆力も素晴らしい。
読み終わった後、時折彼らの姿を回想したくなる物語でした。
美しい表紙と、粗筋に惹かれて買ってみました。
子供達の乗った船が嵐で沈没。子供達数人は漂流し、無人島に辿り着く。
粗筋だけを読めば、ありきたりな冒険小説でしょうが、今までに無いタイプの漂流ものだと思うのです。
飢餓状態で人を襲ったり、疑心暗鬼になったり、そういう展開を予測していたら、見事に裏切られた。
その島には食べられる果実もあるし、飲料水も確保出来る。死に対する緊張感はあまり無い。
つまりそうなると、少年少女数人の人間関係が面白くなってくる。
舞台は現代なのだけど、場所が場所だけに、どこか幻想めいた関係が出来上がっていく。
仲間達の関係に「危機」はなく、なんか青臭い「性」が見え隠れする。
読み解くほど眼前に情景が浮かび、台詞一つだけで、隣にいるような生き生きとした登場人物達を書き上げる筆力も素晴らしい。
読み終わった後、時折彼らの姿を回想したくなる物語でした。
女王百年と、迷宮睡魔
2004年5月1日 読書 森博嗣さんの著書に「女王の百年密室」と「迷宮百年の睡魔」というのがあります。
この本は、なかなか面白いです。
内容は知らないんですが、なんか複雑で面白いんです。
まず、幻冬舎からハードカバーで「女王の百年密室」が出版されました。
2000年7月の事です。
そしてその約三年後の2003年6月。平均的なペースでこの本は文庫化されました。もちろん幻冬舎から。
しかしその数ヶ月後、2004年2月の事です。
なぜか「新潮社」からこの本が文庫化されました。
数日後、謎は氷解します。
2003年6月。つまり幻冬舎で「女王百年」が文庫化されたその月、続編にあたる「迷宮百年の睡魔」が「新潮社」からハードカバーで発売されていました。
これはいったいどういう事か!
シリーズを出版する権利なんてものがあるのかわかりませんが、順当にいけば、幻冬舎から出るべきシリーズです。
しかし、どういうわけか、新潮社にこのシリーズがうつったわけですね。
私はそれを知って「なるほど」と手を打ちました。シリーズでも出版社がかわるなんて、まるでトライガンみたいだ、と笑いさえしました。
だがまだ終わりません。
なんと、そのたった九ヶ月後! 幻冬舎から「迷宮百年の睡魔」が新書化されたではありませんか!
たった九ヶ月での新書落ち! しかも違う出版社から。
整理しましょう。
2000年7月→女王百年発売(幻冬舎)
2003年6月→女王百年文庫化(幻冬舎)
2003年6月→迷宮睡魔発売(新潮社)
2004年2月→女王百年文庫化(新潮社)
2004年3月→迷宮睡魔新書落ち(幻冬舎)
ちなみに、幻冬舎から漫画化されて出てたりします。
このまま行くと、2006年の5月に新潮社から文庫化されて、このシリーズは二つしか出ていないにもかかわらず六冊も存在する事に。
なんて面白い本だろう。
売れっ子作家ならではの複雑な事情なんでしょうね。
推測すると、幻冬舎から書き下ろしの依頼が来て、女王百年が完成。出版。
次に、新潮社から書き下ろしの依頼が来て、続編を書いた。
互いにこのシリーズの権利を主張しあった結果が、こうなのでは。
異常に早い「迷宮睡魔」の新書落ちから見ると、なかなか最初に書き下ろしを取り付けた幻冬舎が優勢か。
上の推測は、全部妄想ですが。
別会社から文庫化、または新刊落ちする、というのは良く聞く話なんですけどね。
バトルロワイヤルとか、リアル鬼ごっことか。
島田荘司さんが、原書房で書いている御手洗の話も講談社の新書に落ちますね。
この本は、なかなか面白いです。
内容は知らないんですが、なんか複雑で面白いんです。
まず、幻冬舎からハードカバーで「女王の百年密室」が出版されました。
2000年7月の事です。
そしてその約三年後の2003年6月。平均的なペースでこの本は文庫化されました。もちろん幻冬舎から。
しかしその数ヶ月後、2004年2月の事です。
なぜか「新潮社」からこの本が文庫化されました。
数日後、謎は氷解します。
2003年6月。つまり幻冬舎で「女王百年」が文庫化されたその月、続編にあたる「迷宮百年の睡魔」が「新潮社」からハードカバーで発売されていました。
これはいったいどういう事か!
シリーズを出版する権利なんてものがあるのかわかりませんが、順当にいけば、幻冬舎から出るべきシリーズです。
しかし、どういうわけか、新潮社にこのシリーズがうつったわけですね。
私はそれを知って「なるほど」と手を打ちました。シリーズでも出版社がかわるなんて、まるでトライガンみたいだ、と笑いさえしました。
だがまだ終わりません。
なんと、そのたった九ヶ月後! 幻冬舎から「迷宮百年の睡魔」が新書化されたではありませんか!
たった九ヶ月での新書落ち! しかも違う出版社から。
整理しましょう。
2000年7月→女王百年発売(幻冬舎)
2003年6月→女王百年文庫化(幻冬舎)
2003年6月→迷宮睡魔発売(新潮社)
2004年2月→女王百年文庫化(新潮社)
2004年3月→迷宮睡魔新書落ち(幻冬舎)
ちなみに、幻冬舎から漫画化されて出てたりします。
このまま行くと、2006年の5月に新潮社から文庫化されて、このシリーズは二つしか出ていないにもかかわらず六冊も存在する事に。
なんて面白い本だろう。
売れっ子作家ならではの複雑な事情なんでしょうね。
推測すると、幻冬舎から書き下ろしの依頼が来て、女王百年が完成。出版。
次に、新潮社から書き下ろしの依頼が来て、続編を書いた。
互いにこのシリーズの権利を主張しあった結果が、こうなのでは。
異常に早い「迷宮睡魔」の新書落ちから見ると、なかなか最初に書き下ろしを取り付けた幻冬舎が優勢か。
上の推測は、全部妄想ですが。
別会社から文庫化、または新刊落ちする、というのは良く聞く話なんですけどね。
バトルロワイヤルとか、リアル鬼ごっことか。
島田荘司さんが、原書房で書いている御手洗の話も講談社の新書に落ちますね。
宮部みゆきさんの「理由」がWOWOWでドラマ化されているそうですね。WOWOW入っていないので見られませんが。
出演している役者さんは、全員ノーメイクだとか。
こういう、力の入っている作品は好きです。監督の力量が問われるというか。創作物という感じがたまりません。
男女がいちゃいちゃするよりも、数倍面白そう。
無ければいいとは思いませんが。実際、嫌いではないし……。
と、言いつつここ4,5年ドラマを一度も見ていない。
ケイゾクくらいかなあ。見たのは。
出演している役者さんは、全員ノーメイクだとか。
こういう、力の入っている作品は好きです。監督の力量が問われるというか。創作物という感じがたまりません。
男女がいちゃいちゃするよりも、数倍面白そう。
無ければいいとは思いませんが。実際、嫌いではないし……。
と、言いつつここ4,5年ドラマを一度も見ていない。
ケイゾクくらいかなあ。見たのは。
ISBN:4344405153 文庫 吉田 修一 幻冬舎 2004/04 ¥560
冴えない大学生。
芸能人と付き合っている女。
自称イラストレーターの女。
男娼の男。
映画配給会社勤務の男。
接点のなさそうなこの五人が、一つ屋根の下「上辺だけの付き合い」を続けていく。
そういうお話。
吉田修一さんというと「パークライフ」で芥川賞を受賞した作家さんで、著書はあまり多くありません。
ので、全部読んでは見ているのですが、良作あれど、傑作無しという印象でした。
でも、この「パレード」は傑作を飛び越え名作。
なぜこの本が文学史に名を残さぬのだろう!
と今声を大にして叫びたい。
川上弘美さんが、まさに私の心境を解説で書いてくださっているので、今更何を言う事も無いのですが……。
ただ、やはり「怖い」です。この本はとんでもなく怖くて、しかも「愛しい」です。
この本の世界から抜け出せなくなるかと思いました。
涙が出ない打ち震える感動、というのを、初めて覚えました。
発売はだいぶ前だけれど、今のところ今年最大の収穫。
冴えない大学生。
芸能人と付き合っている女。
自称イラストレーターの女。
男娼の男。
映画配給会社勤務の男。
接点のなさそうなこの五人が、一つ屋根の下「上辺だけの付き合い」を続けていく。
そういうお話。
吉田修一さんというと「パークライフ」で芥川賞を受賞した作家さんで、著書はあまり多くありません。
ので、全部読んでは見ているのですが、良作あれど、傑作無しという印象でした。
でも、この「パレード」は傑作を飛び越え名作。
なぜこの本が文学史に名を残さぬのだろう!
と今声を大にして叫びたい。
川上弘美さんが、まさに私の心境を解説で書いてくださっているので、今更何を言う事も無いのですが……。
ただ、やはり「怖い」です。この本はとんでもなく怖くて、しかも「愛しい」です。
この本の世界から抜け出せなくなるかと思いました。
涙が出ない打ち震える感動、というのを、初めて覚えました。
発売はだいぶ前だけれど、今のところ今年最大の収穫。
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