さよなら妖精(ミステリフロンティア3)
2004年4月28日 読書
ISBN:4488017037 単行本 米澤 穂信 東京創元社 2004/02 ¥1,575
一九九一年四月。
主人公は下校途中、雨宿りをしている黒髪の白人マーヤと出会います。
異国の少女を介して知る「外側の世界」。主人公は憧憬とも、ジレンマともとれる感情を覚えます。
マーヤはたびたび主人公達に「謎」を問うてきます。主人公は推理して、適切な言葉を選び答えていきます。
二ヶ月が過ぎ、マーヤは自分の国へ帰っていきました。
そして一年後。主人公はどうしても「マーヤがどこに帰ったのか」を知らなければならなくなります。
二冊買っちゃいました。
このお話は多面的です。ミステリでもあるし、恋愛小説でもあるし、文学でもある。
「詰め込まれた」わけではなく、それらが渾然一体となって、一つの風味になっています。
異国の人間が、日本の風習を謎に思う事は、実際ある事でしょう。そして「なぜ?」と聞かれると明確な答えがない事象も多々あります。
その「なぜ?」を少しふくらました「日常の謎」が所々鏤められ、物語は最後、意外な展開を見せます。
硬質で比喩を嫌うような読みやすい文章に、ライトノベル寄りのキャラクタ達。
しかしテーマはどこまでも重く、犯人はまるで見えてきません。
一つ一つの「日常の謎」は確かにパンチが弱いけれど、それを含めても、心にどっしりと残る作品でした。
注・ファンタジーではなく、現代が舞台です。
外側の世界、というのは、自分たちの「何も変わらない日常」を円でくくり、その外側という意味。
一九九一年四月。
主人公は下校途中、雨宿りをしている黒髪の白人マーヤと出会います。
異国の少女を介して知る「外側の世界」。主人公は憧憬とも、ジレンマともとれる感情を覚えます。
マーヤはたびたび主人公達に「謎」を問うてきます。主人公は推理して、適切な言葉を選び答えていきます。
二ヶ月が過ぎ、マーヤは自分の国へ帰っていきました。
そして一年後。主人公はどうしても「マーヤがどこに帰ったのか」を知らなければならなくなります。
二冊買っちゃいました。
このお話は多面的です。ミステリでもあるし、恋愛小説でもあるし、文学でもある。
「詰め込まれた」わけではなく、それらが渾然一体となって、一つの風味になっています。
異国の人間が、日本の風習を謎に思う事は、実際ある事でしょう。そして「なぜ?」と聞かれると明確な答えがない事象も多々あります。
その「なぜ?」を少しふくらました「日常の謎」が所々鏤められ、物語は最後、意外な展開を見せます。
硬質で比喩を嫌うような読みやすい文章に、ライトノベル寄りのキャラクタ達。
しかしテーマはどこまでも重く、犯人はまるで見えてきません。
一つ一つの「日常の謎」は確かにパンチが弱いけれど、それを含めても、心にどっしりと残る作品でした。
注・ファンタジーではなく、現代が舞台です。
外側の世界、というのは、自分たちの「何も変わらない日常」を円でくくり、その外側という意味。
ヘビイチゴ・サナトリウム(ミステリフロンティア2)
2004年4月28日 読書
ISBN:4488017010 単行本 ほしお さなえ 東京創元社 2003/12 ¥1,575
みんな飛び降りて死んじゃった。なんでだろう。
中高一貫教育の女子校で、生徒が墜死した。
生徒の死に関してさまざまな噂が飛び交う中、今度は教師が墜死する。
その高校教師は、死んだ女子生徒と共に一作の小説を書き上げ、新人賞を受賞していたが、それを辞退していた。
二人の死を調べる女子生徒は、その作品が盗作だと知る。
いったい二人の死の真相は。
夢野久作の「ドグラマグラ」は、一度読むと精神に異常をきたす、なんて言われる奇書です。
わたしはこの「ヘビイチゴサナトリウム」を読んで、目眩を覚えました。
境界線が見えないというか、どこからどこまでが真実で、どこからどこまでが「騙し」なのだろう、と。
正直、いまいち理解出来ていない、というのが感想。複雑に入り組んだ構造をしているから。
最初はサスペンス風の様相を見せて、後に「密室だと気づく」なんて流れは今まで見たことがありませんでした。
そういう意味で、面白くはありますし、何か心に残ります。
この不思議な感じがたまりません。
うまく理解は出来ていないけれど、好きな本。
いつか再読したいです。
みんな飛び降りて死んじゃった。なんでだろう。
中高一貫教育の女子校で、生徒が墜死した。
生徒の死に関してさまざまな噂が飛び交う中、今度は教師が墜死する。
その高校教師は、死んだ女子生徒と共に一作の小説を書き上げ、新人賞を受賞していたが、それを辞退していた。
二人の死を調べる女子生徒は、その作品が盗作だと知る。
いったい二人の死の真相は。
夢野久作の「ドグラマグラ」は、一度読むと精神に異常をきたす、なんて言われる奇書です。
わたしはこの「ヘビイチゴサナトリウム」を読んで、目眩を覚えました。
境界線が見えないというか、どこからどこまでが真実で、どこからどこまでが「騙し」なのだろう、と。
正直、いまいち理解出来ていない、というのが感想。複雑に入り組んだ構造をしているから。
最初はサスペンス風の様相を見せて、後に「密室だと気づく」なんて流れは今まで見たことがありませんでした。
そういう意味で、面白くはありますし、何か心に残ります。
この不思議な感じがたまりません。
うまく理解は出来ていないけれど、好きな本。
いつか再読したいです。
アヒルと鴨のコインロッカー(ミステリフロンティア1)
2004年4月28日 読書
ISBN:4488017002 単行本 伊坂 幸太郎 東京創元社 2003/11/20 ¥1,575
「一緒に本屋を襲わないか?」
引っ越して初めて会話を交わした悪魔的な男が、初対面の僕にそう話しかけてきた。
危うく数十万円の教材を買わされそうになった僕でも、さすがに書店強盗はわけが違う。
しかし、あれやこれやで承諾してしまうのだった。
一方で、動物を虐殺する若者グループを目撃してしまった「わたし」は、悪意に巻き込まれていく。
現在である「僕」と過去である「わたし」の物語が、徐々に絡まり、最後に一つの像が浮かび上がる。
ミステリは、自動のパズルのよう。もちろん、そんな感動を覚える傑作は少ないのだけれど。
魅力的な登場人物達が繰り広げる物語は、一見して明るい物だけど、根底にある泥臭さが徐々に鼻に衝いてくる。
軽いテンポで読ませてくれる文章だけど、読後感は途方もなく重い。
とはいえ、嫌なものでもなく、ある種、美しさもある。この矛盾も本書の魅力。
この物語に出る「悪」は、殺人鬼でも異常者でも無い。ただ、悪意を持った若い人間。だけど、それがとても怖い。
「一緒に本屋を襲わないか?」
引っ越して初めて会話を交わした悪魔的な男が、初対面の僕にそう話しかけてきた。
危うく数十万円の教材を買わされそうになった僕でも、さすがに書店強盗はわけが違う。
しかし、あれやこれやで承諾してしまうのだった。
一方で、動物を虐殺する若者グループを目撃してしまった「わたし」は、悪意に巻き込まれていく。
現在である「僕」と過去である「わたし」の物語が、徐々に絡まり、最後に一つの像が浮かび上がる。
ミステリは、自動のパズルのよう。もちろん、そんな感動を覚える傑作は少ないのだけれど。
魅力的な登場人物達が繰り広げる物語は、一見して明るい物だけど、根底にある泥臭さが徐々に鼻に衝いてくる。
軽いテンポで読ませてくれる文章だけど、読後感は途方もなく重い。
とはいえ、嫌なものでもなく、ある種、美しさもある。この矛盾も本書の魅力。
この物語に出る「悪」は、殺人鬼でも異常者でも無い。ただ、悪意を持った若い人間。だけど、それがとても怖い。
ISBN:415208412X 単行本 牧野 修 早川書房 2002/04 ¥1,785
再読中。
大阪に隕石が落ちました。落下地点半径六キロは立ち入り禁止です。
全身がゼリー状になる病気が蔓延。
病気に罹った彼、彼女らは、最終的に隕石落下地点へ走っていってしまいます。
というような、お話。
頭にぴりぴり来るような壊れた文章が心地良いです。
最初に大風呂敷を広げるお話はよくありますが、徐々に風呂敷が広がっていくさまはお見事。連載らしい設定の変更は多々見られますが、それも気にならない程度。
イメージの奔流に、翻弄されましょう。
再読中。
大阪に隕石が落ちました。落下地点半径六キロは立ち入り禁止です。
全身がゼリー状になる病気が蔓延。
病気に罹った彼、彼女らは、最終的に隕石落下地点へ走っていってしまいます。
というような、お話。
頭にぴりぴり来るような壊れた文章が心地良いです。
最初に大風呂敷を広げるお話はよくありますが、徐々に風呂敷が広がっていくさまはお見事。連載らしい設定の変更は多々見られますが、それも気にならない程度。
イメージの奔流に、翻弄されましょう。
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