ISBN:4062735350 文庫 京極 夏彦 講談社 2002/09 ¥1,360

 ふはー。
 凄い凄い。
 偶然とも思える策略が、放射状にのび集積(と言うより縦横に張り巡ら)されて事件となり、その中央に居る人物をぼやかす。
 さらに、登場人物全てがパーツであるような構成。
 各々の物語だけでも一つ小説が成り立つのに……
 長大にもなりますわ。

 第一に、キャラクタ小説として、一人一人がたっている事が凄い。
 第二に、ミステリとしてここまで大がかりな事をやってしまった事が凄い。
 第三に、それが成功している事が、とんでもなく凄い。
 普通なら、安易なオチで終わらせられるような部分も、あえてそれを避けるようにおとしている。物語はどんどんおかしな方向へ複雑化して行ってるのに、見事にまとまってしまう。
 まあ、少し登場人物の頭が良すぎないか、とか思っちゃうけれど、それはそれ。キャラクタがたっているからいいのです。

 これで直木賞取れなかったんだから、よくわからない。
 まあ、シリーズ通して(と言うか初期の作品)の登場人物まで持ち出す周到さなのだから、仕方ないか。

 骨がおれますが、第一作から読んでいくと吉です。
 おすすめ。

 今川が好き。

-追記-

 ちなみに京極さんは本のデザインから手がけているので、次のページに文章が続かないような、そんな丁寧な段落になってるのです。
 1000ページ近くある物語も、比較的そのおかげなのか楽に読めます。

コメント

MILK
MILK
2006年3月4日17:24

今川は私も好きです。

ミケン
ミケン
2006年3月5日10:46

 あの木訥な感じなのに、妙に鋭いところが善いのです。
 喋り方もいつか真似したくなったりするのです。

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