BRAIN VALLEY〈上〉

2005年2月20日 読書
ISBN:4048730606 単行本 瀬名 秀明 角川書店 1997/12 ¥1,470

 脳の十年が終わって、いったい脳の何がわかったんだろう。
 心の在処はどこなのか。
 神はどうして人間によって生み出されたのか。

 ストーリーの展開や、場面設定自体は、正直平易。
 ただ、それを装飾する設定やアイディアが一筋縄ではない。
 アブダクション、臨死体験、幽体離脱。一歩ずれればオカルトになりそうなこれらを、うまく科学と絡めて、さらにストーリーにも絡めていく。
 突発的なアイディア一つで出来る物ではない綿密さが、素晴らしい。

 脳の働きの説明が続いてくると、果たして登場人物達の動き一つ一つ、さらにこちらの動き一つ一つまで操られて居るんじゃないか、という気になってくる。
 そう言う意味での文章力は、やはり圧倒的。
 ハードSFとエンターテイメント、そのぎりぎりの位置を保っていて、それがやはり面白い。

 瀬名秀明でなければ書けない、瀬名秀明の小説。
 またこういうの書いてくれないかなあ。

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