ISBN:4104722014 単行本 平山 瑞穂 新潮社 2004/12/21 ¥1,470

 僕は常に正しく行動している。姉を犯そうとした「アレ」は始末されるべきだし、頭の足りない無礼なヤンキーが不幸になるのは当然だ。でも、なぜか人は僕を遠巻きにする。薄気味悪い虫を見るように。
 日本ファンタジーノベル大賞 大賞受賞作。

 凄まじい。帯にはカフカ+マルケス=と言う文句がついていたけれど、個人的には薄い牧野修+人情のない重松清=である。
 この絶望感というか、疾走――または失速――感は久しぶり。

 グロテスクで、美しさはないプロットが、これでもかというほど流れるように進んで飽きない。
 ファンタジーノベル大賞と言う事で、章ごとにいくらか現実離れした現実が差し込まれてくる。それもどこか漠然としていて、果たして何かの隠喩なのかとすら思えてしまう。
 深そうな、浅そうな、そんな水たまりを見るみたいな。
 見てるこっちは小学生の脳みそみたいに、足を突っ込まざるをえないのだけれど。

 次作がどういう方向に行くのかで、決まる。
 同じ方向だったら、正直言ってつまらない。
 前回の受賞者、森見さんがそうだったように。

 次は、泣かせて欲しい。

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