ISBN:4093860726 単行本 片山 恭一 小学館 2001/03 ¥1,470

 与えられる事の「楽」さと、与える事の「楽」しさ。
「し」が入るくせに。

 あらすじは、紹介するまでもないほど有名な本。
 そして、若い人の本。

 面白かったけれど、批判される理由もわかる。しかし、その評価が正しいのかどうかなんて、誰が決めるか。時代は流れている。
 個人的に、逃避行中、いつの間にか死を肯定して話していく電車の中でのシーンはなかなかじんとしてしまった。
 嘘です。「じん」じゃなくて、泣きました。

 妙にお洒落を気取った文章の書き方は、好き嫌いがはっきりとわかれそう。
 フランス映画を芸術的に見てますよ、ワイングラスゆらゆら的な。
 フランス映画はエロいから良いのだ。エロいから。エロエロエロー。

 話がずれた。

 この本を読んでいる最中、傍らに北村薫さんの「リセット」が置いてあるのを見つけて、ふと思い出した。
 その中に宮部みゆきさんと著者の北村薫さんの対談が載っていた。対談中にこんな対話があった。

-引用-

宮部・
 とっても好きなシーンがあるんです(中略)事故に遭うところ。真澄さんが事故の直前「もしもの事があったらわたし、あなたのお母さんに会わせる顔がない」っていうところです。

北村・
 それは、ぜひ使いたいセリフでした(後略)

宮部・
 (前略)今、語られている恋や愛のなかには、この感覚は少ないと思うんですよ。あなたに何かあったら、あなたのご両親に申し訳ない、という感覚は、薄れていると思うんですよ。人に恋したり、愛したりする感情が、相手を思いやる事なら、その中にはかならず親の事もあるはずなのだけれど――。

-引用終わり-

 つまりこれは、現代のお話。
 価値観が変わった現代のお話。それが受け入れられている。
 そう実感。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索