こんな夜更けにバナナかよ
2005年1月4日 読書
ISBN:4894532476 単行本 渡辺 一史 北海道新聞社 2003/03 ¥1,890
徐々に筋肉が萎縮していく難病、筋ジストロフィー。
その難病を持つ鹿野氏とボランティア達を追ったドキュメンタリー。
障害者にとって、当然の権利とはどこまでが許されるのだろう。
この本の中で鹿野氏は何度も「わがまま」と表現されている。アレやって、コレやって、タイトルにもなった「こんな夜更けにバナナかよ」事件からも、その「わがまま」ぶりが見えている。
とはいえ、本当にそれが「わがまま」なのか。寝返りも自分でうてない人間が「あれをしてほしい」とボランティアに要求する事が「わがままなのか」どうか。
意外に考える機会の少ない投げかけを貰った気がする。
健常者は「障害者なんだから」と押しつけて、障害者は「障害者だから」と卑屈になる。
これが正しくない、と言いながらも、読む前の私は「遠慮くらいしろよなあ」とか思っていた時もあった。
何だろう、結局狭い視野でしかなかったのだな。
24時間他人の手を借りなければ行けない状態で、どう振る舞えるか。ちょっと想像出来なかった。この本を読み終わったあとでも、まるでフィクションみたいに現実感が無い。
それを生き抜くしんどさって、どんなのだろう。
考える事は出来る。良い事に、この本という教科書もあるのだから。
もちろん、ボランティアも人間であるわけだけれど。
でも、障害があるから、他人の手を借りなければいけない人間だから、何かを我慢し続けなければいけない、と言うのもそれはそれで「正しい」のかどうか。
(もちろん鹿野氏は「障害者だから」という時代遅れの言葉は使わない)
この本でも何度か投げかけられる疑問。
ただ障害者を「可哀想」としか思っていなかった人間に、分かりやすく考えさせてくれる。
しかし、ボランティアの人達だって鹿野氏に負けず一癖も二癖もある。
障害者じゃない鹿野さんは考えられない、と言うセリフがあるのだけれど、多分ボランティアに訪れた人間もそうなのだろうな、と思った。
何かしら悩んでいるけれど、その悩みが無かったら自分じゃない、と自信のもてるだろう人達ばかりが集まっている気がする。
この本の裏の主役は、彼ら、彼女らでもあるわけだ。
「不幸な人間はもう一人不幸な人間を見つけて、幸せになる」という言葉の印象深い事印象深い事。
不幸やら苦しみっていうのも、そんなに悪いもんじゃない。卑屈にさえならなければ。
主観で決めつけて、冗長な文章がずっと続く、と言うイメージがノンフィクションにはあったのだけれど、ここまで主観と客観で悩み、問題を真摯に扱い、魅力ある文章で構成されているとは思わなかった。
もっと多くの人に読まれるべき本。
オススメ。
徐々に筋肉が萎縮していく難病、筋ジストロフィー。
その難病を持つ鹿野氏とボランティア達を追ったドキュメンタリー。
障害者にとって、当然の権利とはどこまでが許されるのだろう。
この本の中で鹿野氏は何度も「わがまま」と表現されている。アレやって、コレやって、タイトルにもなった「こんな夜更けにバナナかよ」事件からも、その「わがまま」ぶりが見えている。
とはいえ、本当にそれが「わがまま」なのか。寝返りも自分でうてない人間が「あれをしてほしい」とボランティアに要求する事が「わがままなのか」どうか。
意外に考える機会の少ない投げかけを貰った気がする。
健常者は「障害者なんだから」と押しつけて、障害者は「障害者だから」と卑屈になる。
これが正しくない、と言いながらも、読む前の私は「遠慮くらいしろよなあ」とか思っていた時もあった。
何だろう、結局狭い視野でしかなかったのだな。
24時間他人の手を借りなければ行けない状態で、どう振る舞えるか。ちょっと想像出来なかった。この本を読み終わったあとでも、まるでフィクションみたいに現実感が無い。
それを生き抜くしんどさって、どんなのだろう。
考える事は出来る。良い事に、この本という教科書もあるのだから。
もちろん、ボランティアも人間であるわけだけれど。
でも、障害があるから、他人の手を借りなければいけない人間だから、何かを我慢し続けなければいけない、と言うのもそれはそれで「正しい」のかどうか。
(もちろん鹿野氏は「障害者だから」という時代遅れの言葉は使わない)
この本でも何度か投げかけられる疑問。
ただ障害者を「可哀想」としか思っていなかった人間に、分かりやすく考えさせてくれる。
しかし、ボランティアの人達だって鹿野氏に負けず一癖も二癖もある。
障害者じゃない鹿野さんは考えられない、と言うセリフがあるのだけれど、多分ボランティアに訪れた人間もそうなのだろうな、と思った。
何かしら悩んでいるけれど、その悩みが無かったら自分じゃない、と自信のもてるだろう人達ばかりが集まっている気がする。
この本の裏の主役は、彼ら、彼女らでもあるわけだ。
「不幸な人間はもう一人不幸な人間を見つけて、幸せになる」という言葉の印象深い事印象深い事。
不幸やら苦しみっていうのも、そんなに悪いもんじゃない。卑屈にさえならなければ。
主観で決めつけて、冗長な文章がずっと続く、と言うイメージがノンフィクションにはあったのだけれど、ここまで主観と客観で悩み、問題を真摯に扱い、魅力ある文章で構成されているとは思わなかった。
もっと多くの人に読まれるべき本。
オススメ。
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