ISBN:4093874808 単行本 藤谷 治 小学館 2003/11 ¥1,365

 世界に必要なのは、アンダンテモッツァレラチーズ(馬鹿話)と少しの愛なのさ。

 そんなくさいような、どこか焦点がずれたようなバカっぽい帯の台詞が、終いにはとんでもなく輝いて見えてくる本書。素晴らしい。

 軽快で痛快で爽快な語り口調の一人称でぐいぐいと進むけれど、不思議と三人称であったり、それで帯の通り「馬鹿話」が意味無く続いたり。
 アンダンテモッツァレラチーズの由来も、馬鹿話を愛する者にとっては、「あるあるネタ」的で暖かなエピソードが用意されてある。
 馬鹿話自体も、非現実的に見えながら、しかしこんな馬鹿な話してるよなあ、と納得してしまう。
 馬鹿な事にみんな真剣で、その真剣に馬鹿である事がどれだけ大切なのかをこの本は説いているのだ。

 しかし最後にはじんっと胸に響いてくるメッセージ。考えてみれば、こんなに馬鹿なのに宗教だってテーマとして扱っちゃっているのだ。
 まさかこう来るとは、という驚きもあります。馬鹿話だけで終わると思ったのに、なんてどでかい物語なのだ。

 少し前(2003年末)の本ですが、オススメです。
 文庫化の前に買っても、損はさせませんよ。
 馬鹿話好きの聖書となるでしょう。

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