斜め屋敷の犯罪

2004年7月30日 読書
ISBN:4061851896 文庫 島田 荘司 講談社 1992/07 ¥650

 北の地に建てられた斜めに傾く洋館「流氷館」
 クリスマスパーティーに訪れた客達は、そこで惨劇に出会う。
 動き出す人形。密室での殺人。果たして犯人は、そしてその方法は。
 御手洗潔シリーズ第二弾。

 やはりこれも再読。朝になりかけました。
 最初から名探偵がいたら、緊張感が減ってしまう。
 そんな迷信(?)にあやかり、御手洗は最後にちょちょいと謎を解いて帰っていきます。
 探偵は死ぬ事がないから緊張感が減る、と笠井潔さんも「オイディプス症候群」雑誌連載時には探偵(?)矢吹翔を出さなかったそうです。
 しかし読者からは不評で、本にまとめる際に加筆訂正を大幅に行い(そのため、刊行が何年も遅れた)、見事本格ミステリ大賞を受賞。

「緊張感」も勿論そうですが、読者が一番求めているのは「高揚感」だと思うのです。
 わくわくとしなければ、読んでいて楽しくない。それには道化的な探偵役が出ずっぱりで居てくれないと。

 と思うのですが、しかし斜め屋敷の犯罪の場合それほどお話自体が長くはないため、あまり嫌には感じないのですけれどね。
 むしろ、唐突に現れて最初から事件の全てを見渡している御手洗の様子はむかつくくらい格好良い。
 各々の登場人物も、それなりに魅力的な行動をしてくれますし、飽きません。

 屋敷の構造が複雑なため、描写がくどくどとしますが、読み飛ばしても特に問題はありませんし、登場人物が多いのですが、キャラクタが分かりやすく混同する事も無いでしょう。
「読者への挑戦」がありますが、ここまで「解けるわけ無いだろう!」と突っ込める作品もありません。

 とてもフェアで、究極的にアンフェアな作品。
 トリックをしっていて再読すると、結構ヒントは出ているみたいですけど、わかりません、普通。

 この頃の島田さんの女性の書き方好きだなあ……

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