蹴りたい田中

2004年6月26日 読書
ISBN:4150307628 文庫 田中 啓文 早川書房 2004/06/10 ¥735

 ひどい!

 ここまでひどい小説を読んだ事はない。
 でも、大好きだ!

 茶川賞受賞作と帯にうってあって、冗談で済まされないんじゃないか、という凝り方(赤い帯というのも、蹴りたい背中のパロディであろう)
 田中啓文さんのお話というのは、はっきり言って「通」好みで、決して文章も巧いというわけでもなく、ストーリーも面白い、と言えない(とくに短編はピンキリがはっきりしている)
 では、何が魅力かと言えば、その脱力感であろう。

山田正紀に神狩り2を早く執筆するよう頼みたいけれど、きっと彼なら「やあ、まだまだ先」と言うだろう。

 なんていう文章が、さらりと紛れ込んでいる。
「赤い家」なんてもっとひどい。肝心なトリック部分が駄洒落で終わっているのだ!
 はっきり言って、途中に出てくる駄洒落も溜息しか出ない。

 でも、大好きだ!

 たぶん、普通の人が買ったら、本を壁に投げつけるか燃すかのどちらかであるが、私はこの本を是非ハードカバーで買いたかった。
 素敵な装丁と、内容の凝り方をもっと突き詰めて頂きたかった。
 この本は復刻版であるからついていない、という設定の付録も欲しかった。

 はっきり言って、面白くはありません。
 でも、良いんです。それが。

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