ISBN:4840213887 文庫 秋山 瑞人 メディアワークス 2000/01 ¥536

(性懲りもなく七日改訂)

 宇宙に浮かぶ島、遙か昔、天使の手で築かれた城「トルク」
 そこで暮らす猫達とロボット達のお話。

 立ち読みで「あとがき」を読んでみてください。あらすじではなく「あとがき」を。それが大体の内容です。

 この本のテーマは、猫の小さな背中に背負わせて良いものか、というほど大きく考える事に意味があるもの。けれど、それだけだったら「物語」にならない。
 どれだけそのテーマに美味い味付けをするかが本の善し悪しを決めるってもんです。
 もちろんそのテーマの面白さもさることながら、この本はとにかく味付けが美味い。巧い。
 猫一匹一匹が、黴だらけの「トルク」を生きている様子が、時におかしかったり、時に悲しかったり、時に激しかったり。
 人間に置き換える暇もなく目の前に展開する猫人生が、素敵なのです。
 細部まで考えられた設定や、時々垣間見える裏設定(たとえば猫達の語彙の制約)も手が込んでいて飽きがこない。
 しかも、猫だというのに戦闘シーンの迫力たるやものすごい。
 空気の流れまで文字から頬に伝わってきそうでした。

 本の分類はライトノベルに分けられるのでしょうが、エンターテイメントの枠で考えれば一般文芸書がどんどん蹴落とされるくらいの面白さです。

 さて「幽の章」で、どんな決着がつくのか、今から楽しみです。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索