ISBN:433407314X 単行本(ソフトカバー) 宮部 みゆき 光文社 1998/10 ¥860

 読了しました。
 このカヴァーデザインは、いかがなものか。

 面白かった。けど、少々不満も。
 なんだかんだで「長編宮部みゆきさん」らしい。作品。
 テーマの丁寧な扱いにはいつもの事ながら感服です。私になりに、一つ考える事が出来ましたし、答えも出たような気がします。
 この本は答えを提示するのではなく、問題を投げかける物語なのですね。
 クロスファイア、模倣犯と読んで、「そして粛清の扉を」の選評のあの部分を読んだとき、二つの物語の中で、宮部さんがどの位置に自分を置いたのかが、なんとなくわかります。
 客観をこれほどもてるなんて、凄いです。

 エンターテイメント小説としては、後半少々急ぎすぎているような気がしました。
 青木淳子という人物像が、突然弱く見えたのは、狙いなのかな。初めて逢う能力者同士、という設定があったとしても、何か根本で納得がいかない。
 淳子の三人称一視点であるから、余計にそう思えたのかも。なんだか、青木淳子という人物が、突然わからなくなって、突き放された感じがした。

 あと、不自然ではないはずの伏線が、浮ついて見えたのは、なんでだろうなあ……

 それでも、面白かったです。
 読んでよかった。

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