ISBN:4163228403 単行本 高野 和明 文藝春秋 2004/04/07 ¥1,680
江戸川乱歩賞を「13階段」で受賞した高野和明さんの新刊。
自殺をした青年がふと気づくと、なぜか崖にへばりついている。
自殺をした青年は崖をのぼってみるとそこには、年齢も性別もばらばらな三人の人間達がいて、そのうち神様まで現れる。
神様はその場にいた(青年も含め)四人に対して、命を粗末にした罰をあたえる。
それは、七週間の内に一〇〇人の命を救えというものだった。
なんだか馬鹿馬鹿しい設定であるけれど、実はこれが重たい。
様々な「死にたい」と思っている人間を救っていく彼ら。そんな自殺志願者のエピソードを軸に物語は進んでいくのだけれど、常につきまとうのは、もう自殺してしまった主人公達の存在。
「自殺志願者は未来が見えなくなる」という作中の言葉の通り、自殺した主人公達は、徐々に「見えないはずだった未来」に身を置いた自分に、何度も疑問を抱く。
どうして、死んでしまったんだろう。そう思う事すら。
もっとこうして生きていれば、もっと図々しく生きていれば。何度も自問自答を繰り返す。
この自問自答は、主人公達の心境でもあり、読者へのメッセージでもあるのでしょう。
嫌味の無い書き方が、心に響きました。
潜在的な自殺志願者達に、生きる意味を繰り返し叫び続ける自殺者である主人公達。
滑稽な光景だけど、最後にはこちらも熱くなってしまう。自殺しようとする人たちに「がんばれ」と叫びたくなる(鬱病にはいけないらしいけど)。
主人公達が自殺を食い止めるたびに、なんだかこちらの「がんばれ」という言葉が届いたような気になるほど、物語にのめり込めました。
でも、読者にとっての「目」である主人公達にかける言葉がない事に気づき、なんだか複雑な気持ちになってしまうのも、この本の魅力かも知れない。
この本は、まさに「救い」をテーマにしていて、全体的には爽やかに読み通せました。もちろん、ずっしりと心に残る重さはありますが、嫌な気分ではありません。
最後に一言。
自殺、かっこわるい。とみんなが素直に言えますように。
江戸川乱歩賞を「13階段」で受賞した高野和明さんの新刊。
自殺をした青年がふと気づくと、なぜか崖にへばりついている。
自殺をした青年は崖をのぼってみるとそこには、年齢も性別もばらばらな三人の人間達がいて、そのうち神様まで現れる。
神様はその場にいた(青年も含め)四人に対して、命を粗末にした罰をあたえる。
それは、七週間の内に一〇〇人の命を救えというものだった。
なんだか馬鹿馬鹿しい設定であるけれど、実はこれが重たい。
様々な「死にたい」と思っている人間を救っていく彼ら。そんな自殺志願者のエピソードを軸に物語は進んでいくのだけれど、常につきまとうのは、もう自殺してしまった主人公達の存在。
「自殺志願者は未来が見えなくなる」という作中の言葉の通り、自殺した主人公達は、徐々に「見えないはずだった未来」に身を置いた自分に、何度も疑問を抱く。
どうして、死んでしまったんだろう。そう思う事すら。
もっとこうして生きていれば、もっと図々しく生きていれば。何度も自問自答を繰り返す。
この自問自答は、主人公達の心境でもあり、読者へのメッセージでもあるのでしょう。
嫌味の無い書き方が、心に響きました。
潜在的な自殺志願者達に、生きる意味を繰り返し叫び続ける自殺者である主人公達。
滑稽な光景だけど、最後にはこちらも熱くなってしまう。自殺しようとする人たちに「がんばれ」と叫びたくなる(鬱病にはいけないらしいけど)。
主人公達が自殺を食い止めるたびに、なんだかこちらの「がんばれ」という言葉が届いたような気になるほど、物語にのめり込めました。
でも、読者にとっての「目」である主人公達にかける言葉がない事に気づき、なんだか複雑な気持ちになってしまうのも、この本の魅力かも知れない。
この本は、まさに「救い」をテーマにしていて、全体的には爽やかに読み通せました。もちろん、ずっしりと心に残る重さはありますが、嫌な気分ではありません。
最後に一言。
自殺、かっこわるい。とみんなが素直に言えますように。
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