ISBN:4087745341 単行本 乙一 集英社 2003/06 ¥1,575
乙一さんの短編集。
16歳だったか17歳でジャンプノベルスにてデビュー後、我孫子武丸氏の絶賛を浴び、角川スニーカー文庫で「せつなさの達人」と呼ばれる名短編集をいくつも送り出す。
その後初のハードカバー「GOTH」で本格ミステリ大賞を受賞し、若い異能としてマスコミに多く取り上げられる。
彼を天才と呼ぶ人は少なくないけれど、個人的に乙一さんは「とてもセンスのいい人」だと思うんです。
幼少から吸収してきた様々なものを、努力で創作に押し上げている。
そんなイメージ。
このZOOは、比較的初期の作品から後期の作品まで揃ってる、統一性のないおかしな短編集です。
どれもこれもそれなりに面白いのですが、中でも推したいのが表題作でもある「ZOO」と「陽だまりの詩」の二篇。
この二篇の説明をすれば、この短編集がどれだけ変かわかって頂けるとも思います。
「ZOO」は、ある青年の元に毎日、恋人が徐々に腐乱していく写真が送られてくるという、前記した「せつなさの達人」とはかけ離れた粗筋を持った物語です。
実はその写真は、青年自身が殺してしまった恋人を、青年自身が毎日写真を撮って自身に送りつけているわけですが、とにかく怖い。
書き方が突き放しているというか、一人称なのに、なぜか客観的すぎて、ぞっとする。
乙一さん得意の「最後にあっと驚く」ようなオチは無いだけに、あまり人気のない話だけれど、私は一番好きです、このお話。
「陽だまり詩」は、人類が滅亡している世界で、のんびりと暮らす一人の老人と、老人の作ったロボットのお話。
ロボットが徐々に感情を持っていく様子が、急ぎ足でもなく、微妙な時間の流れで丁寧に書かれていて、最後は涙が溢れてしまいます。
細かく張り巡らされた伏線もお見事。
と、言うように、こういった両極端な話が平然と同じ本に収められて、なおかつそれがアンソロジーではなく「乙一」という個人であるから、恐ろしい。
そして、とんでもなく面白い。
乙一さんの短編集。
16歳だったか17歳でジャンプノベルスにてデビュー後、我孫子武丸氏の絶賛を浴び、角川スニーカー文庫で「せつなさの達人」と呼ばれる名短編集をいくつも送り出す。
その後初のハードカバー「GOTH」で本格ミステリ大賞を受賞し、若い異能としてマスコミに多く取り上げられる。
彼を天才と呼ぶ人は少なくないけれど、個人的に乙一さんは「とてもセンスのいい人」だと思うんです。
幼少から吸収してきた様々なものを、努力で創作に押し上げている。
そんなイメージ。
このZOOは、比較的初期の作品から後期の作品まで揃ってる、統一性のないおかしな短編集です。
どれもこれもそれなりに面白いのですが、中でも推したいのが表題作でもある「ZOO」と「陽だまりの詩」の二篇。
この二篇の説明をすれば、この短編集がどれだけ変かわかって頂けるとも思います。
「ZOO」は、ある青年の元に毎日、恋人が徐々に腐乱していく写真が送られてくるという、前記した「せつなさの達人」とはかけ離れた粗筋を持った物語です。
実はその写真は、青年自身が殺してしまった恋人を、青年自身が毎日写真を撮って自身に送りつけているわけですが、とにかく怖い。
書き方が突き放しているというか、一人称なのに、なぜか客観的すぎて、ぞっとする。
乙一さん得意の「最後にあっと驚く」ようなオチは無いだけに、あまり人気のない話だけれど、私は一番好きです、このお話。
「陽だまり詩」は、人類が滅亡している世界で、のんびりと暮らす一人の老人と、老人の作ったロボットのお話。
ロボットが徐々に感情を持っていく様子が、急ぎ足でもなく、微妙な時間の流れで丁寧に書かれていて、最後は涙が溢れてしまいます。
細かく張り巡らされた伏線もお見事。
と、言うように、こういった両極端な話が平然と同じ本に収められて、なおかつそれがアンソロジーではなく「乙一」という個人であるから、恐ろしい。
そして、とんでもなく面白い。
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